患者に「受け持ち拒否」をされてしまったら・・・
受け持ちを拒否されることは、看護師である自分を否定されたような気持ちになるほど辛い体験です。
今回は、私が患者さんから「受け持ち拒否」された時のことのお話をします。
体験談だけではなく、どんな要因が絡んでいたのか、自分の対応はどうだったのかを振り返り、今後の対応策まで考えていきたいと思います。
あくまで未熟な看護師としての見解と分析ですので、参考にならないかもしれません。
それでも、似たような経験をしている方、悩んでいる方のお力になれればうれしいです。
「受け持ち拒否」に至るまで
私が「受け持ち拒否」をされた患者は男性の高齢者で、いわゆるモンスターペイシェントでした。
始めて受け持つ日は夜勤だったのですが、情報収集をしていると、入院当初からクレームの経過記録だらけ。
「あ~対応に気を付けないといけない患者だな。どう対応をしていけばいいかな・・・」
と考えながら対応していたのですが・・・
初日からその患者にとって、私は気に食わない看護師となってしまいました。
詳細は省きますが、その日彼からは「常識がない」「頭の悪いバカばっかりだ」「患者の気持ちも理解できないのか」「気が利かない」等の発言ばかりを聞いていました。
それに加えて、机をたたく、手を振り払うなどの乱暴な行為。
とても高圧的な態度で、看護師に対する不満や暴言しか言わず、彼の他にも受け持っている患者が15人いる中で、そのクレームを聞く時間に数十分費やしていました。
私は看護師として、必要なケアを実践しているつもりです。
彼からの話を全て聞いたうえで、何がいけなかったのか、どうしてほしいのか、現状できる事やできない事、医師の指示のもと動き、看護師として判断している事などの説明をしました。
でも、それが彼にとっては「口答え」となってしまったのです。
「お前は文句をいうのか。あんたと話すことはもうない」と、その言葉以降は話しかけても一切答えてもらえなくなりました。
その日以降も、私以外にもクレームの日々は続きます。
医師をはじめ、師長や主任、チームのスタッフ、ときには本人や家族も交えて話し合いの場が持たれ、対応を考えたりもしましたが、彼の高圧的な態度は変わることはありませんでした。
はっきり言って大っ嫌いです。私は嫌いな人にやさしくできるほど人間できていません。
しかも、彼には一切無視されていていたので、会話が成り立つ状態ではありませんでした。
それでも自分は看護師だし、受け持つ以上は観察する責任がある。できるだけ接する態度は変えず、必要最低限のことだけしよう。
そう考えて受け持っていたある日、「検温をしますね」とだけ伝えて、こちらで体温計を挟もうとしました。
その行為が彼の沸点にふれたようで、ついに「あんたみたいな無神経なやつには、何もしてもらいたくない。」と受け持ちを拒否されてしまったのです。
クレームの要因
さて、彼がクレーマーになる要因をあげてみます。
- 医師とコミュニケーションがとれず、不安や不満が募った
- 治療がうまくいかず、ストレスがたまっていた
- 支えとなる存在がいなく(家族はいるがほぼ面会には来ない)、ストレスのはけ口が看護師しかいなかった
- 金銭面で余裕がなく、退院が延期となり焦っていた
- 看護師や他職種との対応の違いに、情報共有がされていないのではないかと不振に思った
- 病院側の対応が自分の思っている対応と違っていた(病院のシステムを理解していなく、過度なサービスを期待していた)
今考えうる要因は、このあたりかと思います。
こう羅列してみると、モンスターペイシェントと呼ばれる彼にも、まったく共感できないわけではありません。
自分の対応を振り返る
次に、自分の対応について振り返ってみます。
反省すべきことは1つ、感情的になってしまっている事だと思います。
彼に対し「大嫌いだ」という感情が生まれ、問題に向き合っていなかったことが、私の見直すべきところだと感じています。
もちろん人間ですから、個人に対する思いが生じてしまうのは仕方ないことです。
でも、その「大嫌い」という感情が先立ってしまい、彼に対する対応が考えられていなかったんです。
自分に対するクレームの対応、会話が成り立っていないことへの対応・・・
これらをそのままにして、自分のペースで仕事を進めようとしたところ、「受け持ち拒否」という結果になったのだと考えます。
これからの対策
いったいどういった対応をすれば良かったのか考えてみます。
- 彼の発言や態度を真に受けず、聞き流せるようになる。
→「頭がわるい」「気が利かない」といった言葉を言われたら、カチンときますよね。でも、ここでカチンときて態度を変えてしまうと、モンスターの思うツボになります。暴言に対し冷静になれる精神力を持ちたいです。
- 理不尽なクレームや要求にも一度は理解を示す。
→話を聞くことはできるのですが、私は理不尽な事を謝罪をしたり要求を受け入れる事ができません。変なプライドは捨てて、その場をやり過ごすことだけを考えればよかったと思います。
- 師長に相談し、対応を考えてもらう。
→モンスターの特徴は個人を攻撃するそうです。師長に相談し対応してもらう事で、「何かあれば組織として然るべき対応をする」ということを患者に理解してもらう事が大事です。
とはいっても、これらが出来たとしても、うまくいかない事もあるのが現実ですよね。
大事なことは、絶対に一人で悩んだり落ち込んだりしない事だと思います。
まとめ
ここまで分析して考えてみても、やはり彼の態度への憤りや「大嫌いだ」という感情は消えません。
ですが、私はその事自体に反省したりとか、改めようとは思いません。
今でも「早くこの世からいなくなれ」という呪いのような気持ちさえ持っていますw
看護師なのにこんな思いを持っちゃダメだ・・・患者さんのことを受容できていないなんて看護師失格だ・・・そんなことありません。
モンスターになる背景や要因がどうあれ、モンスター側にトラブルの原因があると思いますし、こちらが気に病んでまで受容する必要はまったくないと思っています。
それでも、そんな彼らと関わりが多いのがこの職業・・・
自分の出来ていなかったことを考え、次に活かせるようにいくつも対応策を持っておくことが、モンスターペイシェントに関わる上で必要なことだと思います。
今後はうまく対応できるようなスキルや精神力を身に着けていきたいです。